生きるか死ぬか

私には仲間がいる。
正確には「いた」だろうか。
大きなイベントが終わり、お互いにもう他愛のない話だけを口にしていた帰り道、男同士ならではの「今好きな漫画ある?」という話題になった。

漫画は結構読んできた気がするが、彼が出してきた漫画は全く読んだことのないものだった。
もちろん有名な漫画だから、雑誌の表紙で見たことはあったのだが、おもしろそうとは思えなかったのだ。
その漫画をつい先日まで漫画喫茶に何度も通い読破した。
率直に言えば、最高におもしろかった。
キーワードは「生きる」「仲間」「戦術」などと言ったところだろうか。
中でも、「戦術」の描写がなかなか楽しい。
史実に充実な戦争風景というわけではないが、単なる友情や努力だけで勝ち負けが決まる漫画ではないから、どう敵と戦い、「どう敵と戦わないか」という術が必要になってくる。
敵から逃げる決意、戦って死ぬ方がいいと思える覚悟を戦術面と登場人物の想いから表現する。
これらの描写がうまいことが、この漫画が人気であることの理由の1つだろう。
また、1つ私の心に残ったシーンがある。
自分では戦わず、戦略を練り指示を出す役目の人間がいて、その人物は大勢の人間を送り出すとき、どのくらい犠牲が出るかを計算して数勘定をしている。
人間を数として見るのだ。
今すぐ死ぬかもしれない人間を。
そこへの躊躇があり、それでもやらなければいけないという主人公達がいる一方で、敵もまた同様に苦悩し、人を愛し、殺し合っているのだ。
そういう時代が少し前まであったということが今では信じられない。

ほたるの墓

先日、「ほたるの墓」という映画のDVDを借りて、自宅で彼氏と一緒に観ました。
今までも何度かテレビで放送されていたのですが、初めから最後まで観るのは今回が初めてだったかもしれません。

この物語の内容は、戦時中の日本で両親を亡くし、親戚にひどい扱いを受けながらも頑張って生きる兄と妹の兄妹愛が描かれ、最後は2人とも命を落としてしまうという、なんとも切ない物語です。
初めてこの映画を観たのは小学校の時で、戦争というのもがとても怖くて、途中で観るのを止めてしまった思い出があります。

私は戦争について、祖母から話を聞いたり、授業で習ったりはしましたが、実際にはどんなものだったかなんて想像もつきません。
しかし当時の原爆の写真や遺品を見ると、すさまじく恐ろしい物だったという事は分かります。
また一般の市民も戦争に行くしかならず、国のためと多くの人が命を落としたという話も聞き、これから戦争に行かねばならないという人の胸中はさぞ複雑だったと思います。

また今もなお、戦争の被害によう後遺症に苦しめられている人は沢山いますし、外国では戦争中という国もあります。
私は正直、何がきっかけでそんな争い事が起きたのか、起こっているのか分かりません。
しかし暴力からは悲しみしか生まれないと思います。
もしかしたら将来、もう一度戦争が起こってしまうかもしれません。
あれから何十年という月日が経ち、前回を余裕で凌ぐ威力を持った兵器が作り出されているでしょう。
そう考えると、とても怖いです。
戦争を経験した人たちがいなくなろうとしている今、改めて戦争の恐ろしさを考え、これからの世代にも伝えていくべきなのではないかと思います。

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